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ダーク・ミニスター
暗黒公使
夢野 久作
「新作探偵小説全集 全九巻」1933(昭和8)年1月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 214,561 字 · 420 页
「どうだか存じませぬ」
ストーン氏の唇から冷笑がスット消えた。同時に眼からちょっと稲光りがさした。余りにフテブテしい女の態度に立腹したものらしい。
「学校を卒業されましたか」
「一昨年女学校を卒業しました」
「学校の名前は……」
「それも申上げられませぬ。妾の秘密に仕度うございます。校長さんに済みませぬから……」
「叔父さんに怖いのでしょう」
「怖くはありませぬ。もう存じておる筈ですから……でなくとも、もう直きに解りますから……」
「叱られるでしょう」
「叱りませぬ。泣いてくれますでしょう」
「何故ですか」
「あとからお話し致します」
「……フム……それでは……学校を卒業してから何をしておられましたか」
「絵と音楽のお稽古をしておりました」
ストーン氏は背後の絵を振りかえった。
「……S・AOYAMA……この絵は貴女の絵ですか」
「……いいえ……わたくしの先生……」
と云いさしてハッとハンカチで口を蔽うた。ストーン氏はニヤリとしながら頤で首肯いた。
「……フム……それで……貴女はいつ、初めてジョージ・クレイに会いましたか」
「今から一週間前の朝でございました」
「どこで……どうして友達になりましたか」