轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ダーク・ミニスター
暗黒公使
夢野 久作
「新作探偵小説全集 全九巻」1933(昭和8)年1月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 214,561 字 · 420 页
事件でも、私は殆んど鑑識課の仕事を度外視しているように見えるかも知れない。同時に私の行動が如何にも旧式な、精力主義一方の探偵方針で働いているように見えるかも知れないが、これは止むを得ない……ただ賢明なる読者諸君の批判に訴えるより外に仕方がないと諦めている。
しかし強いて云い訳をすれば出来ない事もない。
元来探偵事件の興味の中心が、その犯罪手段や探偵方針のハイカラかハイカラでないかに繋っているものでない事は、一八〇〇年時代の探偵記録や裁判聞書が、依然として現代の巴里尖端人に喜ばれている事実に照しても一目瞭然で、私がこれから述べようとする「暗黒公使事件」の興味も、そんな点にはかかわっていない……否、寧ろその不自由を極めた……世にも自烈度い方法でもって、大資本を背景にした民族的大犯罪に喰い下って、盲目滅法に闘って行かなければならなかったところに、怪事件の怪事件たる価値や風味が、いよいよ深められ、高められて行く。そこに興味の中心が在りはしないかと考えている位である。
だから筆者は却って旧幕時代の捕物帳に含まれているような、あの一種の懐古的な……もしくは探奇的とも云うべき情景を読者の眼前に展開して、現在長足の進歩を遂げているであろう日本の探偵界と比較して頂きたいという、自分一個の楽しみから、この記録を公表する気に