轻松读懂日语经典作品
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あらしのなか
暴風雨の中
山本 周五郎
「週刊朝日新秋読物号」朝日新聞出版、1952(昭和27)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,339 字 · 30 页
男は浮き腰になった、外へでもとびだしそうな恰好をみせたが、すぐに坐り直して、きせるを逆に持った。
「おめえは松島町で人をあやめた」男は三之助を見て云った、「日本橋松島町の家主、油屋仁兵衛を短刀でやった、それに間違えはねえだろうな」
「此処で口書きでも取ろうってのか」
「おれの云うことに返答をしろ、それから口のききようを改めるんだ」男は云った、「そんな口のききようをすると痛いめをみせるぞ」
三之助は黙った。
「おめえの気の毒な身の上はたいがいわかってる」男は云った、調子は厳しいが思い遣りのあるような口ぶりであった、「おやじは佃島の漁師で政吉、おふくろはいちといったな、おめえを入れて子供が四人、千吉、よね、伊三郎、おめえはよねの下で二男坊の筈だ」
「おらあ勘当されたんだ」三之助は眼をつむった、「十五の年に勘当されて、人別もぬかれたんだ、おれにゃあきょうだいなんかありやしねえ」
「おめえがぐれたわけも知ってるぜ」
佐平という男は云った。三之助の家はごく貧しかった。父の政吉は愚直で、酒も煙草ものまず、人に騙されたり利用されたりするばかりだった。おれは貧乏籤をひくためにこの世へ生れてきたようなものだ、いつもそう云っていたが、長男の千吉が十一のとき、漁に出て疾風に遭って死んだ。