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あけみのうた

曙覧の歌

正岡 子規

「日本」日本新聞社、1899(明治32)年3月22日~24日、26日、28日、30日、4月9日、22日~23日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,667 字 · 26 页

青空文庫

以後、客観的歌想の歌、次第にその数を増加するの傾向を見る。

主観的歌想の中にて理屈めきたるはその品卑しく趣味薄くして取るに足らず。『古今』以後の歌には理屈めきたるが多けれど『万葉集』、『曙覧集』にはなし。理屈ならぬ主観的歌想は多く実地より出でたるものにして、古人も今人もさまで感情の変るべきにあらぬに、まして短歌のごとく短くして、複雑なる主観的歌想を現すあたわず、ただ簡単なる想をのみ主とするものは、観察の精細ならざりし古代も観察の精細に赴きし後世も差異はなはだ少きがごとし。ただ時代時代の風俗政治等々しからざるがために材料または題目の上には多少の差異なきにあらず。例えば万葉時代には実地より出でたる恋歌の著しく多きに引きかえ『曙覧集』には恋歌は全くなくして、親を懐い子を悼み時を歎くの歌などがかえって多きがごとし。

曙覧の歌、四になる女の子を失いて

きのふまで吾衣手にとりすがり父よ父よといひてしものを

父の十七年忌に

今も世にいまされざらむよはひにもあらざるものをあはれ親なし

髪しろくなりても親のある人もおほかるものをわれは親なし

母の三十七年忌に

はふ児にてわかれまつりし身のうさは面だに母を知らぬなりけり