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しょもつをあいするみち
書物を愛する道
柳田 国男
「書物新潮」1940(昭和15)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,750 字 · 12 页
きれいな絵があったり艶めかしい会話が目につくと、思わず釣り込まれてもっと読んで見たくなるのとちょうど正反対に、一方にはただ何と無く面倒くさそうで、一向に好奇心が動かず、所謂敬して遠ざけたくなるコンヂションというものも幾つかある。私たちは戯れに一方を枝折戸、この方を垣根と呼んで居るが、古書には我邦では殊にこの垣根が高いのである。是と書物の価値とは固より関係が無い。現に十本ばかりは其中から聳え立って、通路に枝を垂れ、又は遙々と梢の色をめでられて居る名木もあるのだが、その下草の姿とりどりなるものは、もう覗いて見ることさえ六つかしくなった。さしもに咲き栄えたいにしえの文の苑も、まわりの垣根が枳殼では話にならない。古い国だと自慢はして居るものの、古人を友とする方法は断ち切られようとして居る。しかも其原因は本そのもの、もしくは之を世に残そうとする人の用意の差に在るので、たとえば文庫がどのように誠実であろうとも、其努力だけでは乗り越えることが望まれない。我々読者も共々に深く考えて見なければならぬ問題である。
僅か半世紀の前と今とを比べて見ても、書物の外形がびっくりする程も変って居る。