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しょきかん

書記官

川上 眉山

「太陽」1895(明治28)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,182 字 · 36 页

青空文庫

うむ、よく言った。と綱雄は微笑を洩らして、お前の方がまだ分っている。感心なものだ。と飾らねども顔には情を含めり。

それにね、あの方は何だか気味が悪いわ。私の気のせいだか知らないけれど、一体変でならないの。

どうして、と綱雄は目を送れば、なにね、何でもありませんけれどね、あのー、あのー、ただなんだか訝しいの。だから私は好かないと思っていますの。と目顔に言わする心の中。ふむ、とばかり綱雄は冷笑うごとく、あいつのことだそんなことがあるかも知れぬ。片言でもそれに類したことを口に出したが最後、思い入れ恥をかかせてやれ。あんな奴の餌食になるは死に優した大不幸だ。

私はどういうことになるかも知れないと思うと恐くっていけませんから、あなたね、ここにいる間は後生だから傍についていて下さいな。こんなことを思うと早くねえ……。あのー……。と羞かしそうに打ち笑みて、まあ止しましょう。

何を言っているのだ。と綱雄も初めて清く打ち笑いしが、いやしかし私もせっかくここへは来たけれど、伯父様はあの通りであるから、あの男は毎日入り込んで来るだろう。あいつを見るばかりでも気色に障ってならんから、到底平和に行くわけはない。