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しょきかん
書記官
川上 眉山
「太陽」1895(明治28)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,182 字 · 36 页
私はいっそのことすぐに帰ってしまおう。
あらそんなことをなすっては、なお父様に当るようでもありますし、それに私を、まあどうして下さるおつもりなの。私は一人で、いやなこと、あなたがお帰りになるなら私も御一しょに帰りますよ。
それはいかん。と綱雄は心強く、お前は伯父様を御介抱申さねばならん。お前はまだ三好の娘だぞ。伯父様を大事と思わんか。何だ馬鹿な涙ぐんで。
それだっても私は……。あなたはあんまりだわ。と襦袢の袖を噛み初めしが、それでは父様に無理に願って皆一しょに帰ってしまいましょう。あなたはなぜそう思いやりがないのだろう。私なんぞのことは何とも思っておいでではないんだよ。あなたは私を泣かせて嬉しいの。
そんなことを言っては困るなア。と綱雄は苦笑いして、なに、後での気遣いはないように、それとなく伯父様に注意は必ず与えておこう。私も好んで帰りたくはないわな。
いや、私は帰しませんよ。と光代は捏ね廻わす。
いつまでつまらんことを言っても仕方はない。これからまたしばらく別れるというのに、お前はそんな顔を見せてくれるのか。
何でもいや、私は帰さないからいい。