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げっせかいきょうそうたんけん

月世界競争探検

押川 春浪

「探檢世界秋季臨時増刊 第四卷第三號 月世界」成功雜誌社、1907(明治40)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,365 字 · 17 页

青空文庫

」

「そんな事はあるまい。確かにこの方角に向って行きさえすれば決して間違うはずはない。」

「それにしても秋山様はどうなさりましただか是非この勝負には若旦那様をお勝たせ申しましねえでは、私の気が済みましねえ。それに第一あの秋山様は世間の噂では、随分性質の悪いお方だそうでおざりまするで、どうぞ貴方のお身に万一の事がなければよろしいがと老爺はそればかりを案じておりまする。」

「そんな心配はない。先方も爵位を持っているほどの人物だから……」

と話しあっている中に文彦は雲の間から何やら認めて、

「おや、」

と早速双眼鏡を取り出して見たが、

「月だ!……月だ!」

「え? 月でございますか。」

「そうだ。難有い。もう数時間の後には着けるぞ。」

「左様でござりますか、どうぞ篠山の大旦那様がお無事でお出で下さればよろしゅうござりますが。」

という程なく飛行船の速度は次第に増して、月へ月へと吸い付けられるようにと下降し初める。文彦は、

「ブレーキを悉皆かけてくれ。」

と東助に命じて、自分は注意して電圧器を加減しながら、一心に梶を取っている。

やがて船は次第に間近くなって、二人は無事に月界の上に下り立った。