轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ぼうがくととうきょう
望岳都東京
木暮 理太郎
「霧の旅」1934(昭和9)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,243 字 · 61 页
ですから山を見に行く時には、話相手のないことは寒さと一緒に辛抱して、誰も同行しない方が反っていいようであります。自分独りなら善くても悪くても寝覚がいい、そして工合の好い時は夕方迄我慢して見ている、身体のしんまで冷え込んでブルブル震えながら帰って来る。妙な癖があったものだと自分ながら可笑しくなります。
然し私自身にいわせますと、この辛抱は、登頂の際に遭遇するいろいろの困難に打ち克つあの辛抱と消極的と積極的との差はありますが、同じでありますから、辛抱の仕甲斐があって、気に懸っていた尾根の続き工合や不明であった山襞などを判然と確め得た時のうれしさは、困難な登頂を完了した時の喜びと変りはないのであります。
東京から見える山に就て詳しく話しますと二時間でも三時間でも話は尽きませんが、もう時間にもなりまして、後の差支(映画)になりますからこの辺で終りと致します。
(昭和九、四『霧の旅』)