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あさやけ
朝やけ
豊島 与志雄
「光」1947(昭和22)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,795 字 · 24 页
おれと彼女は、電熱器のそばに一升瓶をひきつけ、飲みながら夜明けを待った。待つうちに酔いつぶれた。何かしらもうめちゃくちゃだった。そしておれは彼女の体温の中に沈没した。僅かに覚えてることは、おれが少しく狂暴だったことと、彼女が少しく冷静だったことだ。彼女は衛生器具を備えていた。それから、その後も、彼女は冷感性かとも思われるふしがあった。ただ、彼女の乳房と、腿は甚だしく豊満だ。おれがもし画家だったら、乳房と腿だけを巨大に誇張して彼女の肖像を描くだろう。
その巨大な乳房と腿とは、おれの理智を麻痺させ、おれの感情を麻痺させ、おれの眼をつぶらせる。そこでは、眼を開くことが不安で、眼を閉じることが楽しいのだ。それでも、おれは時々あばれた。彼女を実は愛してるのか憎んでるのか分らない気持ちの、一種の焦燥のあまり、その胸を殴りつけ、その頸に噛みついた。痕跡の紫斑を隠すためか、彼女は和服を着ることが多くなった。冷静なのだ。
或る時、おれを本当に好きかどうか尋ねたのに対して、彼女は冷静に答えた。
「好きよ。あんたのごつごつしてるのが、好きよ。男ののっぺりしてるのは、あたし嫌い。