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あさおきのひとたち
朝起の人達
佐々木 邦
「面白倶楽部」1925(大正14)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,511 字 · 14 页
御註文通り芝公園へ行って丸山へ登ったけれど、日の出には少し間があった。矢張り早い人もあるもので、老人が一人やって来た。
「お早いことでございますな」
と私の太いステッキにお辞儀をして直ぐに下りて行ってしまった。私は早過ぎたのである。日の出る頃には十五六名集った。しかし大多数の人はこんな壮麗な光景を余所に惰眠を貪っているのだと思ったら、気の毒になった。尚お新鮮な空気を充分に吸って帰途につくと、牛乳屋や新聞配達がポツ/\歩いていた。家の近所では女中達が未だしどけない形をして彼方此方で門を開けていた。
「お早うございましたね」
と妻が迎えた。妻も医者同様私の容体を軽視して、最初は欠勤休養の必要を認めなかったのである。
「少し早過ぎたよ」
と言って、私は巡査と老人のことを話してから、
「俺は人相が悪いのだろうか?」
と訊いて見た。
「そんなこともないでしょうが、風体が好くありませんわ。それに夜明け前ですからね。そんな大きな人がそんな形をしてあんな太いステッキを持って歩けば、何人だって神経衰弱の保養とは思いませんよ」
「何と思うだろう?」
「何とも思いますまいけれど、余所の人は見えるようにしか見てくれませんからね。