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きにのぼったこども
木に上った子供
小川 未明
「少年倶楽部」1927(昭和2)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,835 字 · 8 页
辰吉は、それをほんとうだと信じました。それからは、毎晩のように、戸外に出て、青黒い、夜の空に輝く星の光を見上げました。
「どれが、僕のお母さんだろう?」といって、彼は、ひとり、いつまでも夜の空に輝いている星をば探しました。
いつであったか、辰吉は、おばあさんから、人間というものは死んでしまえば、みんな天へ上って、星になってしまうものだと聞いていました。
夜の空に輝く星の中には、いろいろありました。大きく、ぴかぴかと、白びかりをするものや、また、じっとして、赤く輝いているものや、また、かすかに、小さく、ほたる火のように光っているものなどがありました。辰吉は、どれが、自分の恋しいお母さんの星であろうと思いました。
「お母さんは、きっと、僕の家の屋根の上にきて僕を見てくださるだろう。」と、辰吉は信じました。
彼は、頭の上の空ばかりを探したのでした。そしてやさしそうな、あまり、大きく、強く光らない、一つの赤い色の星をお母さんの星だときめたのであります。
その星は、目にいっぱい涙をためて、なにかものをいいたげに、じっと下を見下ろしているのでありました。
辰吉は、口のうちで、幾たびも、「お母さん、お母さん。