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すえっこ
末っ子
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1957(昭和32)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,564 字 · 55 页
と米良はあやまった、「しかし、そういう娘がいると話していたじゃないか」
「想いをかけたなんて云やあしません、或る店で二三度会ったと云っただけですよ」
「おやそうかしら」と姉のくにが良人のそばから云った、「あのときの口ぶりだと、ずいぶん熱をあげているようだったことよ」
「そんなことがあるもんですか、それは思いちがいですよ、貴方がたまでがそんな」
「ばかに力をいれる」と米良がまたにやにやし、そして話をそらし、「――これから毎月一度、木挽町で寄合をすることになったのを知っているか」
「うちでですか、知りませんね」
「毎月十日の晩だ、平さんが退却したあとできまったんだよ」
こんどは平五が笑った、「そいつはお気の毒だな、おやじの骨董じまんをたっぷり聞かされるんでしょう」
「そうらしい、みんなもなにか一品ずつ持ち寄るということになった、つまりお互いに鑑識眼を高めようというわけさ」
平五は声をあげて笑った、「そいつはまるっきりお気の毒だ、おやじの講釈をたっぷり聞かされるだけですぜ、みんな承知したんですか」
「田村小路がまず双手をあげた」
「なんですって、――あの叔父が、まさか」