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すえっこ
末っ子
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1957(昭和32)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,564 字 · 55 页
から預かってゆくということで、一座はしんとしてしまうし、おかげで私はたいへん面目をほどこしたよ」
平五は唾をのんで反問した、「それは事実ですか、まさか私をからかってるんじゃないでしょうね」
「うちへ帰ってみればわかるよ」と主殿が云った、「本職の鑑定家が、よもや眼ちがいをするわけもないだろう、おまえたいへんなものを掘り出したんだぞ」
「わかりませんよ、そんな筈はないと思う、もっとも私はまだ正宗を見たことはないが、しかし本当とは思えませんね、とても」と平五は昂奮を抑えきれずに云った、「仮にもし事実だとすると、あれは元の持主に返すか、相当の金を払わなければならない、仮に事実だとすればですよ」
「だってあれは平五が買ったんだろう」
「元の持主がわかってますからね」と平五は云いながら立ちあがった、「とにかく多賀という人に会ってたしかめてみます、まだ平河町にいるんでしょうか」
「そうだろうよ、ざっと下地研をしてみて、二三日うちに返辞をすると云ってたからね」
「とにかく平河町へいってみます」
平五は叔父の家をとびだした。聖坂の学寮からとびだしたときよりずっと勢いがよかったし、けしきばんでいた。