轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

すえっこ

末っ子

山本 周五郎

「オール読物」文藝春秋新社、1957(昭和32)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,564 字 · 55 页

青空文庫

と云った。戸をあけると格子はなく、一尺ばかりの土間からすぐ二帖の上り框になっている。娘は行燈を脇に置いてきちんと坐り、作法どおりに挨拶をした。

「夜分にお邪魔をします」と平五は立ったまま云った、「じつは先日のあの短刀が、五郎正宗の真作とわかったものですから」

みのは疑わしげに眼をあげた。平五はあらましの事情を語った。奥に寝ているであろう母親にも聞えるように、かなり高い声で話すと、襖の向うから呼ぶ声がし、みのは返辞をしてそちらへいった。あがってもらえ、と云うのが聞え、みのが当惑したように平五を見た。畳もやぶれているようなその二帖へ、あがれとは云いかねるのだろう、平五は「失礼します」と刀を腰から取って置き、襖の際へいって坐った。

「細江しのぶでございます」と襖の向うで云った、「病中ですから失礼ですがこのままでおゆるし下さい」

平五もこちらから挨拶した。

「短刀のことはここでうかがいました」としのぶは切り口上で云った、「正宗だと伝わっていたのが事実だとわかってうれしゅうございます、けれどもいちど手放した以上、こちらにはなんのかかわりもございません、どうぞ御心配なくおひきとり下さい」