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すえっこ
末っ子
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1957(昭和32)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,564 字 · 55 页
切り口上のうえに、おどろくほど割りきった態度が感じられた。
――これは強敵らしいぞ。
平五はそう思いながら、みのを嫁に欲しいと云いだした。短刀の事がきっかけで勘当された始終と、自分が大小を捨てて道具屋になり、一流の商人になるつもりであること、みのを娶ればもちろん母親も引取って世話をすることなど、気があがっているために、話が前後したり、閊えたり吃ったりしながら、それでも云うだけのことはすっかり云った。しのぶは黙って聞いていたが、平五が話し終るとすぐに「不承知だ」と答えた。
「旧主の名は申せませんが、細江は七百五十石取りの筋目正しい家柄です、たとえ浪人をし、このように貧窮はしていても、道具屋などになる人のところへ娘を遣るわけにはまいりません、お断わり致します」
「しかし」と平五はわれ知らず云い返した、「家柄の点なら小出も三河以来の旗本です」
「お家はそうでしょう、それだけの家に生れながらあなたは御勘当になった、つづめて申せば、あなたはもう三河以来のお家柄を口になさることはできない筈でしょう」
細江家はどうです、と平五は口まで出かかった。浪窮して男子がなければ、細江の家を再興する機会もまずあるまい。