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むらのさんだい

村の三代

宮本 百合子

「日本農業新聞」1941(昭和16)年1月1日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,649 字 · 4 页

青空文庫

の余波の経済パニックも経た。

もうこの頃には、どこの開墾村でも初代の移住者たちは年をとって、二代目が中堅となっており、村役場の三層楼も年とともに古びて来た。郡山が膨張して、附近の村々の若いものはそこの工場で働くようになったし、大戦のころ米価暴騰につられて田地を買い込んだ農民たちは忽ちその借金なしに追い立てられることとなり、村の生活へは明け暮ひろい流れで町の息吹きが動きはじめた。

やがて、それらの村々が併合されて郡山が市になった。村の小学校を出た少年少女は殆どのこらず工場や商店に通うようになり、バスが通りはじめた。

今度の事変がはじまった。先ずガソリン節約でバスがまた一日二三度しか通らなくなったことから始まって、村の空気は段々しかも急速に変化して来た。

近所に出磬山という妙な重箱よみの名をもった山があってその麓一帯何万坪かの田畑が今度買いあげられ、そこに兵営が出来ることになった。

秋のとりいれを待ちかねて、田畑はほりかえされ工事に着手されはじめた。一ヵ村が生計の道を新しく見出さなければならない次第である。誰しも思いつく兵営のぐるりの餅菓子屋だの、一寸一杯だのの店を開くのも今はたやすいことではない。