轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
むらいちょうあんないれのからかさ
村井長庵記名の傘
国枝 史郎
「ポケット」1925(大正14)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,794 字 · 16 页
及び腰をして覗き込む。
「人殺しだアア、追剥だアアア」
呼ばわる声も次第に細く、片手で泥を掴んでは暗を眼掛けて投げ付けるものの、長庵の身体へは当りそうにもない。
「娘やあイ、お種やあイ」
致死期の声で娘を呼ぶ。と、最期の呼吸細く、
「兄貴! 兄貴! 兄貴やあイ。平河町の兄貴やあイ……」
現在その兄が人殺しとも知らず、綿々たる怨みの声で、こう救助を呼ぶのであった。
しかしその声もやがて絶え、苦しみ※(「足へん+宛」、第3水準1-92-36)き蠢いていた、その五体も動かなくなった。
雨が上り雲切れがし、深夜の遅い鎌のような月が、人魂のように現われたが、その光に照らされて、たたまれた襤褸か藁屑かのように、泥に横倒わった十兵衛の死骸、むごたらしさの限りである。
長庵は素早く近寄ったが、足で死骸を確り踏むと、左の耳根から右の耳根までプッツリ止めの刀を差し、刀を持ち替え右手を延ばすと、死骸の懐中から革の財布をズルズルズルと引き出した。
「六十両」とニタリと笑い、ツルツルと懐中へ手繰り込むや、落ち散っている雨傘を死骸の側へポンと蹴った。
さて、スタスタ行き過ぎようとする。