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とうきょうぶんだんにあたう

東京文壇に与う

織田 作之助

「現代文学」1942(昭和17)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,615 字 · 7 页

青空文庫

彼等のうちにも多少の党派別があり、それ/″\の主張があるのではあろうが、私なんぞから見ると、彼等は悉く東京のインテリゲンチャ臭味に統一されている。彼等の関心は、東京の文化と、東京を通じて輸入される外来思想とのみに存して、自分たちの故郷の天地山川や人情風俗は、眼中にないかの如くである。で、もしこれらの文学青年がああ云う勿体ないことをする暇があったら、東京へ出て互いに似たり寄ったりの党派を作ることを止め、故郷に於て同志を集め小さいながらも機関雑誌を発行して異色ある郷土文学を起したならば、どうであろうか」

ひところ地方文学論がさかんであったが、十年前に書かれたこの文章にまさる地方文学論を、私はいまだかつて知らない。東京人でありながら、早くから東京に見切りをつけて、関西を第二の故郷としておられる谷崎氏の実感の前には、東京文壇の空虚な地方文学論なぞ束になっても、かなわぬのである。

故郷を捨てて東京に走り、その職業的有利さから東京に定住している作家、批評家が、両三日地方に出かけて、地方人に地方文学論に就て教えを垂れるという図は、ざらに見うけられたが、まず、色の黒い者に色の黒さを自覚させるために、わざわざ色白が狩り出されるようなもので、御苦労千万である。