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とうきょうようさい

東京要塞

海野 十三

「サンデー毎日」毎日新聞社、1938(昭和13)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,341 字 · 37 页

青空文庫

その翌朝は、親方五郎造から注意されたとおり、午前六時すこし前には早くもこの一団の集合場所である南千住の終点に突立っていた。彼の手には左官道具と弁当箱が大事そうに握られていた。

親方の五郎造が最後にやってきた。それでこの南千住の終点に集まる六人組の顔が全部そろったのであった。五郎造は、探偵帆村の化けこんでいるのとも知らず、正太と名乗るこの新入りの左官のことを、これは自分の女房の従弟だ、どうか仲よくしてやってくれと、他の仲間に引合わした。

帆村探偵は、それから先どうなるのかと、ひそかに好奇の眼を光らせていると、やがて十分も経ったと思う頃、

「やあ、来た来た」

と仲間の一人がいうので、その方を見ていると、一人のよぼよぼの婆さんが怒ったような顔をして一行に近づいてきた。

「――おう親方、吉治がいねえじゃねえか」

と、婆さんは伝法な口を利いた。

「うん、そのことだよ。実は――」

といって、親方はまた吉治が不慮の怪我で入院したことから、その代りに女房の従弟の正木正太を連れて来たが、この人物は保証するというようなことを、婆さんの耳許に噛んでふくめるように説明しなければならなかった。