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とうきょうようさい
東京要塞
海野 十三
「サンデー毎日」毎日新聞社、1938(昭和13)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,341 字 · 37 页
彼はとんとんとんととんという不整音の地響を、どう利用するつもりであろうか。
彼はすぐさま家を飛びだして、帝国大学の地震学教室に駈けつけた。そこで教授に面会して、携帯用の自記地震計の貸与方を願いいでた。教授は事情を聞いて、快く教室にあるだけのものを貸してくれた上、数人の助手までつけてくれることになった。
帆村の眼は、久しぶりに生々と輝いた。彼はこの自記地震計をもって、かのとんとんとんととんという不整な地響のする地点を探しあてるつもりだった。もちろんそれはまず某大国関係の建物のある地域から始めてゆくことに考えていたが、それにしても彼は、まず真先にこの地震計を据えつけたい或る一つの場所を胸の中に秘めていた。
東京要塞
五郎造親方は、この頃になって、脱れられない自分の運命を悟るようになった。
始めは、いい儲けばなしとばかりに、何の気もなく手をつけた仕事だったが、一週間も前から、彼はこの仕事の性質の容易ならぬことに気がついていた。身の危険をも感じないではなかったが、今となってはもうどうにもならない。一行六人は、牢獄のなかに拘禁されているのも同然の姿だった。