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とうきょうようさい
東京要塞
海野 十三
「サンデー毎日」毎日新聞社、1938(昭和13)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,341 字 · 37 页
ずんぐりとした大攻城砲であった。
なんのための攻城砲か。まさかこの建物の中に、巨砲が据えられるとは気がつかなかった。五郎造でなくても、誰でもこれには腰をぬかすであろう。
巨砲の蔭から、士官が三人ばかり姿を現わした。
「おおっ」
五郎造は全身をぴりぴりと慄わせた。
彼の三人の士官こそは、見紛うかたなく某大国の海軍士官であった。五郎造は新聞紙上に、ニュース映画に、またS公園における忠魂塔除幕式の日に、その某大国将兵の制服をいくどとなく見て知っていたのである。
(夢を見ているのではないか)
と疑って、太股をぎゅっとつねってみたが、やはり痛い。だからこれは夢ではない。
夢ではないとしたら、この場の有様は、なんという戦慄すべきことではないか。
砲架の上を歩いていた士官は、松監督をさし招くと、なにごとか命令した。
松監督は畏まって、五郎造のところへ飛んできた。
「おい、やり直しの仕事があるんだ。大急ぎでやってくれ。なに立てないって。そんなことでどうするんだ。じゃあ、こうしてやろう」
と、靴の先で、五郎造の腰骨をいやというほど蹴上げた。
五郎造は憤怒のあまり、ふらふらと立ちあがることに成功した。