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かきのきのあるいえ

柿の木のある家

壺井 栄

「柿の木のある家」山の木書店、1949(昭和24)年4月20日<br>「海のたましひ」大日本雄辯會講談社、1944(昭和19)年6月14日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 15,460 字 · 32 页

青空文庫

それを考えついたのが三太郎おじさんなのです。あるとき、洋一はそのことをフミエにききました。

「ねえちゃんは、どう思う?」

するとフミエは、大したことでもなさそうに、

「三太郎おじさんちなら、やってもいいと思うわ。」

あっさりいったので、洋一は急にはらが立ってきて、フミエをなぐりつけたくなりました。フミエだけは味方だと思っていたのに、これでは反対は自分ひとりだと思うと、フミエがにくらしくてなりませんでした。そう思ったとたんに、ふと、赤ん坊の生れるばん、フミエと百円のかけをしたことに気がつきました。洋一はそれをいって、

「さあ、ゆびきりしたんじゃないか。百円おくれよ。いや、二人だから二百円だよ。」

「さあ、たった今、二百円おくれ。」

するとフミエもまけていません。

「いやよ。ふたごのことなんか、ゆびきりしないわ。一人なら百円あげるけど、ふたごだからあげないわよ。」

「だって、男だったじゃないか。」

二人のけんかは、納戸のおかあさんにきこえたらしく、おかあさんは、はっはっと笑い出し、

「まあまあ、お前さんたち百円かい。ずいぶんやすい赤ん坊だね。」

と、赤ん坊に話しかけるのが聞えました。