轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

梅崎春生『桜島・日の果て・幻化』。同一底本的分册已合并为一书。收入:桜島、日の果て、幻化、風宴。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 169,810 字 · 345 页

青空文庫

その頃再会した。

「あの手紙を書いたのは、あんたでしょ」

女将は酔って彼にからんだ。

「あのおかげで西東は、熊本に戻れず、結局戦死してしまったのよ」

「書きゃしないよ、そんなもの」

彼は驚いて抗弁した。

「君等を引裂いて、おれがどんな得をする?」

結局西東は、犯人が彼であるかないか、半信半疑で出征したという。彼は暗然とした。

〈あそこらの猫の額ぐらいの土地で、おれたちは何をじたばたしていたのか〉

おれの青春はひねこびて小さく、華やかそうに見えて、裏には悪夢のようなものがぎっしりと積み重なっている。向日葵の方向を眺めながら、五郎は考えた。

同級に小城という男がいた。彼にこの下宿を紹介したのは、小城だ。紹介というより、慫慂といった方が正しい。五郎はそれに乗り、一番いい部屋をえらんだ。小城もその部屋を欲しがったが、ついに折れた。小城は言った。

「故郷から客が来た時、君の部屋を使わせて呉れ」

「どんな客だね?」

「身内のものだ」

と小城は答えたけれども、実際にやって来たのは、身内のものでなかった。小学校の女教師で、五郎の部屋で情事がおこなわれた。五郎がそのこまかい経緯や関係を知る前に、小城はふっと他の下宿に移ってしまった。