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えどかとうきょうか

梵雲庵雑話

淡島 寒月

淡島寒月『梵雲庵雑話』。同一底本的分册已合并为一书。收入:江戸か東京か、明治十年前後、銀座は昔からハイカラな所、寺内の奇人団、亡び行く江戸趣味、土俗玩具の話、活動写真、梵雲庵漫録、諸国の玩具、我が宗教観、凧の話。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,841 字 · 73 页

青空文庫

私の今住んでいる向島一帯の土地は、昔は石が少かったそうである。それと反対に向河岸の橋場から今戸辺には、石浜という名が残っている位に石が多かった。で、江戸もずっと以前の事であろうが、石浜に住んでいる人たちは、自分の腕の力を試すという意味も含ませて、向島の方へ石を投げてよこしたという伝説がある。その代りという訳でもあるまいが、この辺の土地は今でも一間も掘り下げると、粘土が層をなしていて、それが即ち今戸焼には好適の材料となるので、つまり暗黙のうちに物々交換をする訳なのである。

この石投げということは、俳諧の季題にある印地打ということなので、この風習は遠い昔に朝鮮から伝来したものらしく、今でも朝鮮では行われているそうだが、それが五月の行事となったのも、つまりは男子の節句という、勇ましいというよりもむしろ荒々しい気風にふさわしい遊戯であるからではなかろうか。既に近松門左衛門の『女殺油地獄』の中に――五月五日は女は家と昔から――という文句があるが、これも印地打のために女子供が怪我をするといけないから表へ出るなと、戒めたものであるらしい。

またそれほど烈しければこそ、多くの怪我人も出来て、後には禁止されたのである。