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えどかとうきょうか

梵雲庵雑話

淡島 寒月

淡島寒月『梵雲庵雑話』。同一底本的分册已合并为一书。收入:江戸か東京か、明治十年前後、銀座は昔からハイカラな所、寺内の奇人団、亡び行く江戸趣味、土俗玩具の話、活動写真、梵雲庵漫録、諸国の玩具、我が宗教観、凧の話。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,841 字 · 73 页

青空文庫

その頃、男の子の春の遊びというと、玩具では纏や鳶口、外の遊びでは竹馬に独楽などであったが、第一は凧である。電線のない時分であるから、初春の江戸の空は狭きまでに各種の凧で飾られたものである。その時分は町中でも諸所に広場があったので、そこへ持ち出して揚げる。揚りきるとそのまま家々の屋根などを巧みに避けて、自分の家へ持ち帰り、家の内に坐りながら、大空高く揚った凧を持って楽しんでいたものである。大きいのになると、十四、五枚のものもあったが、それらは大人が揚げたものであった。

私のいた日本橋馬喰町の近くには、秩父屋という名高い凧屋があって、浅草の観音の市の日から、店先きに種々の綺麗な大きな凧を飾って売り出したものであった。昔は凧の絵の赤い色は皆な蘇枋というもので描いたので、これはやはり日本橋の伊勢佐という生薬屋で専売していたのだが、これを火で温めながら、凧へ塗ったものである。その秩父屋でも何時も店で、火の上へ蘇枋を入れた皿を掛けて、温めながら凧を立て掛けて置いて、いろいろな絵を描いていたが、誠にいい気分のものであった。またこの秩父屋の奴凧は、名優坂東三津五郎の似顔で有名なものだった。