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もりのいしまつ
森の石松
山中 貞雄
「シナリオ・臨時増刊号」1937(昭和12)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,949 字 · 49 页
吉兵衛、一同、共に去って行く。
後に源兵衛親娘が、
「兄さん、帰って来るのね」
「帰って来るなら来るで、手紙の一本位出しときァいいのに、気の利かねえ奴だ」
その時、
旅人が一人通り掛かって、
「御免なせえまし。森の石松つあんの御宅は此方で御座いますね。清水から手紙を言付かって参りました」
「お父っつあん、清水から手紙ですって」
「なに、清水から手紙」
「きっと兄さんからよ」
旅人、手紙を渡して、
「確かにお渡し致します。じゃ御免なせえまし」
「御苦労様で御座いました」
旅人、去る。
お静、源兵衛に手紙を渡して、
「兄さんからでしょう」
源兵衛、表書を読む。
「石松どの? なんだ、これは石松の処へ来た手紙だ」
「誰からなの」
「おはん?」
「おはん? 女のひとね」
「一体、誰だろう?」
「兄さんのお嫁さんかも知れないわ」
「まさか……」
「お父っつあん、読んでみたらどう?」
「そうだな……。読んだっていいだろう」
と源兵衛、封を切って読み始める。
お静、のぞきこんで、
「どう? 矢張り兄さんのお嫁さんでしょう?」
「そんな書きっ振りだ……む――、こりァ余っ程以前から一緒になってるらしいぞ」