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もりのいしまつ
森の石松
山中 貞雄
「シナリオ・臨時増刊号」1937(昭和12)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,949 字 · 49 页
「へえ……なーにお貸元、儂の身内が総がかりで尋ね廻って居りますから二三日うちには、きっと判ります」
「何処の何奴の仕業か、一番先に知らせてくれた奴には、十両や二十両の礼金は儂が出すつもりだ」
S=離れ
七五郎、石松にそっと、
「石松、例の話……な」
「なんだ」
「次郎長の事サ」
「しッ」
「あれを武井のお貸元にそっと知らせるんだ。一両位えにはなるぞ」
「ちえッ、さもしい事いってやがらァ」
「だってお前、帰るにはまだ早えし、二人ともすってんてンの一文無しじゃ、さもしいなんて言ってられねえぞ」
「それも、そうだな」
S=二階座敷
安五郎と吉兵衛、
「吉兵衛、手は何だ」
「手は金銀に桂二枚」
「金銀に桂二枚と……うーむ」
「親分」
と児分の一人が襖の処で言う。
「なんだ」
「七五郎って人が、折入って親分に話してえ事があるそうで、此処に来て居りますが」
「七五郎?」
児分の後から顔を出した七五郎と石松。
七五郎が、
「へえ、武井の御貸元で御座いますか、実は折入って……」
吉兵衛、それと見て、
「何だ、手前七五郎じゃねえか。何の用だ」
「これは都田村の親分で御座いますか」