轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かんおけのはなよめ
棺桶の花嫁
海野 十三
「ぷろふいる」1937(昭和12)年1~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,845 字 · 86 页
杜はちょくちょくミチミに話しかけたけれど、ミチミはいつも生返事ばかりしていた。これがゆうべ、あのように興奮して、彼のふところに泣きあかしたミチミと同じミチミだろうか。
向うの角を曲って、電車が近づいてきた。
杜は強い肘を張ってミチミのために乗降口の前に道をあけてやった。ミチミは黙って、踏段をあがった。そのとき彼はミチミのストッキングに小さい丸い破れ穴がポツンと明いていてそこから、彼女の生白い皮膚がのぞいているのを発見した。
杜もつづいて電車にのろうとしたが、横合から割こんで来た乱暴な勤め人のために、つい後にされちまった。だから満員電車のなかに入った彼は、ミチミの隣の吊り皮を握るわけにはゆかなかった。
やがて電車は、彼の乗り換えるべき停留所のところに来た。彼はミチミに別れをつげるために、彼女の方を向いた。
ミチミは彼のために、顔を向けて待っていた。そして彼がまだ挨拶の合図を送らないまえに、
「兄さん、いってらっしゃい」
と、二、三人の乗客の肩越しにいとも朗かな声をかけた。しかし、愕いたことに、ミチミの声に反して彼女の眼には泪が一ぱい溜っていた。
「大丈夫。