轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かんおけのはなよめ

棺桶の花嫁

海野 十三

「ぷろふいる」1937(昭和12)年1~3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,845 字 · 86 页

青空文庫

なにか手首に捲かなければならないが、繃帯などがあろう筈がない。ハンカチーフも駄目だ。そのときふと目についたのは、この女の膚につけている白地に青い水草を散らした模様の湯巻だった。杜は咄嗟にそれをピリピリとひき裂くと、赤爛れになっている女の手首の上に幾重にも捲いてやった。

5

杜がトラックを下りると、お千も突然、あたしも下りると云いだした。

それは翌九月二日の午前六時のこと。場所は、東京の真中新橋の上にちがいないのであるが、満目ただ荒涼たる一面の焼け野原で、わずかに橋があって「しんばし」の文字が読めるから、これが銀座の入口であることが分るというまことに変り果てた帝都の姿だった。

「お内儀さんは、上野までのせていってもらったら、いいのに……」

と、杜は女に云った。

「じゃあ早く乗っとくれ。ぐずぐずしていると其処へ置いてゆくぜ」

と、満載した材木の蔭から、砂埃でまっくろになった運転手の顔が覗いた。

「ええ、あたし、此処でいいのよ。運転手さん、どうもすまなかったわねえ」

運転手はあっさり手をあげると、ガソリンの臭気を後にのこして、車を走らせていった。

「じゃ僕も、ここで失敬しますよ」