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かんおけのはなよめ
棺桶の花嫁
海野 十三
「ぷろふいる」1937(昭和12)年1~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,845 字 · 86 页
そこには多勢の男女が居て、後から分ったところによると、家族づれの宿泊所だった。バラックとは名ばかり、下に柱をくんで、畳が四、五枚並べてあった。天井は、立てば必ず頭をうちつけるトタン板であった。
彼は思いがけなく、畳の上にゴロリと横になることができた。但し畳の上といっても、狭い三尺の方に身体を横たえるので、頭と脚とが外にはみ出すのであった。それでも女はたいへん喜んで、すぐ横になった。
ところが、避難民が、あとからあとへと入ってくるのであった。だから始めは離れていたお千との距離が、前後からだんだんと押しつめられてきた。そして遂に、お千の身体とピッタリくっついてしまった。
それでもまだ後から避難民が入ってきた。
「さあ、皆さん、お互さまです。仰向きになって寝ないで、身体を横にして寝て下さい。一人でも余計に寝てもらいたいですから」
窮屈な号令が掛った。そして係員らしいのが、皆の寝像を調べに入ってきた。やむを得ず、畳の上の人たちは、塩煎餅をかえすように、身体を横に立てた。
「もっとピッタリ寄って下さい。夜露にぬれる人のことを思って、隙をつくらないようにして下さいよ」