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かんおけのはなよめ
棺桶の花嫁
海野 十三
「ぷろふいる」1937(昭和12)年1~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,845 字 · 86 页
どうやら此処は、誰かの邸宅の庭園だったところらしい。
杜は怪訝な顔つきをしているお千の方に振りかえった。
「――さあ、まず焼けトタンを十枚ほど拾いあつめるんだ――」
杜は手をふって、お千に命令を下した。
お千は杜の権幕に愕いて、命令に服従した。そして邸跡にトタン板を探しはじめた。
「オイ、早くしろ。腕なんか釣っているのをよせッ。両手を使ってドンドンやるんだ」
お千は目を瞠って、釣っていた左の手を下ろした。
トタン板が集められると、こんどは柱になるような木が集められた。溝の中に落ちていた丸太やら、焼け折れている庭木などが、それでも五、六本集められた。つづいて水びたしになっていた空虚の芋俵が引上げられ、その縄が解かれた。太い針金が出てきた。
そうした建築材料が集まると、杜はそこに穴を掘って棒を立てた。それから横木や、床張りの木を渡し、屋根には焼けトタン板を何枚も重ねあわした。――バラック建がこうして出来上った。もう正午に近かった。
二人は救護所まで出かけて、昼食の代りにふかし芋を貰ってきた。それを喰べ終ると、二間ほどある縄切れを持って、拾い物に出かけた。