轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かんおけのはなよめ
棺桶の花嫁
海野 十三
「ぷろふいる」1937(昭和12)年1~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,845 字 · 86 页
でも以前にはおよそそんなものを、彼女が持っている様子はなかった。もしそんなものが有るとすれば、それは恐らく、震災後に出来たものに違いない。杜は急に、それを見たくなってきて仕様がなかった。
そのとき、ジャングルから黒豹が足音を忍んでソッと獲物の方に近づいてくるように、ミチミが静かに静かに戸口から現れた。彼女は一本の長い綱を持っている。それは戸口の中まで続いているのであった。
「――あの人が、今いい気持に眠っているのよ。目を覚まさないように気をつけてネ。そこであたしがお願いするのは、この綱よ。これをあたしが内側から合図をしたとき、綱が千切られるくらいウンと引張って向うへ駆けだしてネ。四、五間も走ると、きっと綱が何かに引懸ってそれ以上伸びなくなるから、そこんところで、ジッと持っててネ。あたしが帰ってくるまで、離しちゃ駄目よ。いいこと」
ミチミは杜の耳許で、声をひそめて説明した。彼の感能はそのとき発煙硝酸のようにムクムク動きはじめた。ミチミをどうしても自分のものにしないと、自分の心臓が痙攣を起してしまうかもしれないと思った。
ミチミが、またバラックの中にかえってゆくと、杜は綱を両手でソッと握った。