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かんおけのはなよめ
棺桶の花嫁
海野 十三
「ぷろふいる」1937(昭和12)年1~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,845 字 · 86 页
ミチミは、しっかりした調子で、それを命じた。
杜はミチミに手伝わせて、そのようにした。
「さあそれでいいわ。――ではバラックの中にあるあたしの必要なものを片づけましょう。一緒に行って、片づけてくれない」
「ウン、行ってもいいかしら」
「もう大丈夫よ。有坂は、もうなんにも邪魔をしないわよ」
杜はミチミの言葉を深く考えもせず、彼女について、恐る恐るバラックの入口をくぐった。バラックの中には、暗い電灯が一つ天井から下っていた。彼は極めて自然に、自分がピンと引張った綱の先を眼でもって追っていった。その綱は上向きになって、梁の方に伸びていた。その梁の向うに、彼は全然予期しなかったものを見た。それは紛れもなく、宙にぶら下った男の全身だった。杜はそれが何者であるか、そして何をしているのかを知った瞬間に、愕きのあまりヘタヘタと土間に膝をついた。
「ウム、これは有坂青年だ。これはどういうわけだッ。――」
ミチミは、ジャンヌ・ダルクのように颯爽として、杜の前に突立った。そして氷のように冷徹な声でいった。
「これがあたしの自由を奪っていたものよ。この有坂さんは、この前は今夜貴郎がやってくれたと同じようにお千さんの始末をするのを手伝ってくれたのよ。