轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しいのき

椎の木

豊島 与志雄

「経済往来」1934(昭和9)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,870 字 · 52 页

青空文庫

君の全心をあげて誓ってくれ。それを決して使わないで、ただ預っておくだけだと……。」

「よく分りました。誓います。」

「お母さんに対する君の心にかけても、誓うかね。」

「はい。」

厳粛だとさえ云えるほどの情景だった。良一は心打たれてただじっと坐っていた。川村さんと竹山とは、いつまでも黙っていた。やがて、竹山はふいに、眼をくるくるさした。

「母が待ってるから、行ってやりましょう。」

そしてもう彼はけろりとして、無雑作に拳銃を弾丸らしい紙箱と共に袱紗にくるんで、ポケットにつっこんだ。

「お母さんによろしく。」

「ええ。」

竹山は朗かな微笑を浮べて、出て行った。

川村さんはその後ろ姿を見送ったきり、黙って考えこんでしまった。いつもの呑気な調子とはすっかり違っていた。良一は何とも言葉が出なくて、火鉢の火を見つめていた。暫くたって、川村さんは一つ大きく息をしてから、杯をとりあげ、不思議そうに良一を見まもった。

「君は、竹山と前から懇意なのかい。」

川村さんの眼にはもう、穏かな色がただよっていた。それを見て、良一はかすかな微笑を浮べた。

「今日知り合になったばかりです。」

「今日……。