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しいのき
椎の木
豊島 与志雄
「赤とんぼ」実業之日本社、1946(昭和21)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,002 字 · 13 页
椋鳥はまた凧をつつきました。それから、凧の上、赤いひげだるまの顔のあたりに、とび乗って、足でひっかいてやりました。ばさっと音がし、ばりっと破けて、凧はぐらりとかたむきました。
烏は大きな翼をひろげて、風のように飛んでいってしまいました。
椋鳥はなかばひろげた翼をひらいて、飛びあがろうとしました。ところが、片足が凧の紐にひっかかっていました。凧の四隅や中程についてる紐が一つにまとめてあるその真中に、足をふみこんだのです。
椋鳥はあわてました。片足にからんでる紐を、ほかの片足でけおとそうとして、そちらにも紐をからませ、両足をすり合せばたつかせて、ますます紐をからませました。と共に、飛びあがろうとして力いっぱいに羽ばたきをしました。
凧はゆれ動いて、枝からはなれました。枝にかかってる凧糸が、一方は地面のつつじの木につながれたまま、ぴんと張りきり、ついに切れました。
椋鳥は一生けんめいに羽ばたきしました。しかし、足に凧をつけたまま飛ぶほどの力はありません。凧といっしょにふらりふらりと地面へ落ちてゆきました。
椋鳥はもう羽ばたきをやめました。横ながれにばさりと地面へ落ちました。