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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

03 第三部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,781 字 · 235 页

青空文庫

「さあさ、めいめいで勝手に盛ってな。」

と、自分は子供たちのちゃぶ台にお婆さんに向きあって坐った。

次郎たちには、葱の味噌汁がたまらなくおいしかった。何杯もかえているうちに、顔がほてって汗をかきそうだった。

食事中に、お婆さんが一人でいろんなことを訊ね、いろんなことを話した。その話で、三人はおおよそ家の様子も想像がついた。昨夜の老人は村長で、今朝も早く何か特別の用があって出かけたらしい。子供たちの父になる人は、五六里も離れたところの小学校の校長だが、土曜日に帰って来るのだそうである。

「お爺さんは、今日はな、十時頃までに役場の用をすまして帰って来るけに、それまであんたたちに待ってもろたら、と言うとりましたが。……また滝にでも案内しようと思うとりますじゃろ。」

お婆さんは、そう言って、歯のぬけた口をつぼめ、ほっほっほっと笑った。

食事がすむと、子供たちは、いかにも次郎たちに気をひかれているような様子で、学校に行った。老人は、それから間もなく帰って来たが、すぐ三人のために弁当の用意を命じ、自分は炉のはたで一通の手紙をしたためた。

「滝まで行って来るでな。