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うたよみにあたうるしょ

歌よみに与ふる書

正岡 子規

歌よみに与ふる書「日本」日本新聞社、1898(明治31)年2月12日<br> 再び歌よみに与ふる書「日本附録週報」1898(明治31)年2月14日<br> 三たび歌よみに与ふる書「日本」日本新聞社、1898(明治31)年2月18日<br> 四たび歌よみに与ふる書「日本」日本新聞社、1898(明治31)年2月21日<br> 五たび歌よみに与ふる書「日本」日本新聞社、1898(明治31)年2月23日<br> 六たび歌よみに与ふる書「日本」日本新聞社、1898(明治31)年2月24日<br> 七たび歌よみに与ふる書「日本」日本新聞社、1898(明治31)年2月28日<br> 八たび歌よみに与ふる書「日本」日本新聞社、1898(明治31)年3月1日<br> 九たび歌よみに与ふる書「日本」日本新聞社、1898(明治31)年3月3日<br> 十たび歌よみに与ふる書「日本」日本新聞社、1898(明治31)年3月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,419 字 · 35 页

青空文庫

特色をなし居るとは知らぬ人ぞ多く候べき。普通に歌は「なり」、「けり」、「らん」、「かな」、「けれ」などのごとき助辞をもって斡旋せらるるにて名詞の少きが常なるに、この歌に限りては名詞極めて多く「てにをは」は「の」の字三、「に」の字一、二個の動詞も現在になり(動詞の最短き形)居候。かくのごとく必要なる材料をもって充実したる歌は実に少く候。『新古今』の中には材料の充実したる句法の緊密なる、ややこの歌に似たるものあれど、なおこの歌のごとくは語々活動せざるを覚え候。『万葉』の歌は材料極めて少く簡単をもって勝るもの、実朝一方にはこの『万葉』を擬し、一方にはかくのごとく破天荒の歌をなす、その力量実に測るべからざるもの有之候。また晴を祈る歌に

時によりすぐれば民のなげきなり八大竜王雨やめたまへ

というがあり、恐らくは世人の好まざるところと存候えども、こは生の好きで好きでたまらぬ歌に御座候。かくのごとく勢強き恐ろしき歌はまたと有之間敷、八大竜王を叱咤するところ竜王も懾伏致すべき勢相現れ申候。八大竜王と八字の漢語を用いたるところ「雨やめたまへ」と四三の調を用いたるところ皆この歌の勢を強めたるところにて候。