轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
うたまろざんげ
歌麿懺悔
邦枝 完二
江戸名人伝
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,396 字 · 23 页
自身番には、治郎兵衛のいった通り、名主の幸右衛門と、その他月番の三人が、暗い顔を寄せ合って待っていた。幸右衛門は、歌麿の顔を見ると、慰めるように声をかけた。
「飛んだことでお気の毒だが、これア、何かお上の間違いに違いあるまい。お前さんのようなお人が仮にもお奉行所へ呼び出されるなんてことは、ほんとの災難だ。――だが心配は無用にさっしゃい。天に眼あり。決して正直な者が罪に陥るようなことはありゃアしねえからのう」
口の先では強いことをいっているものの、町役人達も、さすがに肚の中の不安は隠せなかったのであろう。同心渡辺金兵衛の迎いが、一刻でも遅いようにと、ひそかに祈る心は誰しも同じことであった。
しかも五月の空は拭った如く藍色に晴れ、微風は子燕の羽をそよそよと撫でていたが、歌麿の心は北国空のように、重く曇ったまま晴れなかった。
四
それは正に、夢想もしない罪科であった。
両国広小路の地本問屋加賀屋吉右衛門から頼まれて大阪の絵師石田玉山が筆に成る(絵本太閤記)と同一趣向の絵を描いた、その図の二三が災して、吟味中入牢仰付といい渡された時には歌麿は余りのことに、危く白洲へ卒倒しようとしたくらいだった。