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うたまろざんげ

歌麿懺悔

邦枝 完二

江戸名人伝

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,396 字 · 23 页

青空文庫

「うむ、ひょっとするとこれやア姉妹かも知れねえ。――だが、あいつの肌に、まともに触る間もねえうちに、箆棒な、あんな野郎が、あすこへ現れるなんて。――」

歌麿はそういいながら、手にした錦絵を枕許へ置こうとした。と、その瞬間、急に手先の痺れるのを感じた。

「こ、こいつア、いけねえ。――」

しかし、その語尾は、もはや舌が剛張って、思うようにいえなかった。

「お、つ、ね。――」

裏返しにされた亀の子のように、歌麿の巨躯は、床の上でじたばたするばかりだった。

「大変ですよ。お師匠さんが大変ですよ」

おつねが、耳の遠い秀麿を、声限りに呼んでいるのを、歌麿は夢のように聞いていた。

文化三年九月二十日の、鏡のような秋風が、江戸の大路を流れていた。