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しょうじくんのとけい

正二くんの時計

小川 未明

「台湾日日新報 夕刊」昭和15年2月8日、9日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,814 字 · 6 页

青空文庫

」

お父さんは、だまっていられました。

正二くんは、お父さんのへやへ入って、方々のひきだしを開けて、大きな銀時計をさがしました。

やっとそれを見つけると、お父さんの前に持ってきて、

「もらっていいでしょう。」といいました。

「それをやる代わりに、もうほかのを買ってやらないぞ。」

「ああ、いいです。」

正二くんは、時計のひもをバンドに結んで、外へ出かけました。友だちに見せるつもりです。

「正ちゃんのは、すばらしく大きいんだね。」と、秀ちゃんが、いいました。

「これは、下げるんだね、昔の時計だろう。」と、賢吉くんが、いいました。

「正ちゃんの時計の音は、ここまできこえる。」と、秀ちゃんが、すこし離れたところに立っていて、いいました。

正二は、こんな時計を学校へ持っていったら、きっと小谷や、森に笑われるだろうと思ったので、お母さんに、預かってもらうことにしました。

「しかたがないから、四月まで待とうか、それともお姉さんがきたら頼んでみようか。」と、正二くんは、いろいろ考えたのでした。

正二の姉さんは、お嫁にいっていました。けれど、末の弟の正二くんをかわいがっていたのです。