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しょうじくんのとけい

正二くんの時計

小川 未明

「台湾日日新報 夕刊」昭和15年2月8日、9日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,814 字 · 6 页

青空文庫

」と、正二が、いいました。

「いままでのような世の中では、しかたがない。見かけはどんなでも、ほんとうに役に立つものを造らなければ、なんの値打ちもないのだ。人間も同じことだぞ。」と、お父さんが、おっしゃいました。

それは、体操の時間でした。先生が、ポケットから、大きな時計を出して、時間を見ていられました。正二は、自分の大きな時計によく似ているなと思って、見ていました。

「先生の時計は、大きいなあ。」と、笑ったものがあります。

先生は、こちらを向いて、

「君たちの時計は、見かけばかりで、すこし運動すると止まるのだろう。形などはどうでもいい。機械は、このほうがずっといいんだ。」と、おっしゃいました。

その明くる日から、正二くんは、お母さんにあずけてあった時計を下げて、平気で学校へいくようになりました。