轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しょうせつのかきおき
正雪の遺書
国枝 史郎
「サンデー毎日」1924(大正13)年4月1日春季特別号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,367 字 · 15 页
生々しい焼傷が顔を蔽うて目口さえろくろく見分けが付かない。墨染の法衣は千切れ穢れてむさい臭気さえ漂って来る。
伊豆守は故意と人を遠ざけ、親しく縁へ出て差し向かった。
虫の鳴く音が雨のように、草叢の中から聞こえてくる。音らしいものと云えばそれだけである。
と、その僧は手を上げて法衣の襟をほころばせたが、そこから紙片を取り出した。そして無言で手を延ばして、その紙片を縁の上へそっと大事そうに置いたのである。
2
その紙片こそは由井正雪が臨終に際して書きのこしたところの世にも珍らしい遺書なのであって、慶安謀叛の真相と正雪の真価とを知りたい人には無くてならない好史料なのである。
私がそれを手に入れたのはほんの偶然のことからであって、意識して求めた結果ではない。しかし私がその遺書のある肝心の部分だけを解り易い現代語に書き直して発表するということには多少の意味がある意である。
とはいえ私は説明はしまい。意味を汲み取るのは読者の領分で私は記載するばかりである。
――以下正雪の遺書――
(前略)……老中松平伊豆守様。貴方はきっと驚かれるでしょう。それが私には眼に見えるようです。