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れきしとぶんがく
歴史と文学
宮本 百合子
「月刊文章」1941(昭和16)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,976 字 · 4 页
の文学的出生には前の二人の人たちを送り出した歴史の性格の数歩前進した或る契機が語られているのである。
現在、甚しい困難とたたかいながら文学の勉強をしつづけている若い世代の人たちは、多面な歴史と文学との交渉のどんな面の選手として自身を培って行こうとしているのだろうか。これは一語に尽せない明日の文学上の問題であろうと思う。
文学そのものが本来の性質として、運命に対する人間精神の積極な働きかけに立つものであるから、かりにも文学に従う上はあらゆる作家の芸術的モティーヴが歴史の消耗力に向って、消耗され尽さざらんと欲する心情に根ざしているのは自然の理法と云わなければなるまい。その芸術必然の人間的真情が歴史と文学との深刻苛烈な葛藤にいかに処しつつあるかが、日本とはかぎらず世界を一貫して現代文学の課題なのであると思う。
〔一九四一年五月〕