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しのよこく
死の予告
野村 胡堂
「文芸倶楽部」1929(昭和4)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,149 字 · 34 页
第二の犠牲
最後に出て来たのは、二十二三歳と見える、繊弱そうな青年、コバルト色の背広にラッパズボンを穿いた、年寄が見ると胸を悪くしそうな風体です。
「若様、敬太郎様で御座います」
それでも家扶の長谷部は、特別丁寧なお辞儀を一つして引っこみます。
「やア、失敬。君は何んかい。探偵君かい。なに新聞記者? ホウ、そうか、何んか面白いことはありますか、近頃の新聞はどうも面白くないネ――」
弁じ立てそうにするのを、
「もういい、帰れ」
父伯爵が追い返してしまいます。
第二の犠牲
翌る日。
伯爵の不安と懊悩を見兼ねて、私も「足の勇」も到頭伯爵家に泊り込んでしまいました。幸い社の方にも忙しい仕事はなく、間がよく行けば、この種が大物になるかも知れなかったので、編輯長の諒解を得て、暫らくは此事件に没頭することになったのです。
三月十三日は、斯うして賑やかに暮れてしまいました。伯爵令嗣の敬太郎というのは、実は養子で、実子の無い伯爵は、これを姪の瑛子と一緒にする積りで居るようですが、どう言うものか、この二人は全く性が合いません。
併し遊び友達には、どちらも誠に結構な人物でした。屋外遊戯の部に属するものは、瑛子は何んでも心得、屋内遊戯に属するものは、敬太郎が何んでも相手になってくれます。