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しのよこく

死の予告

野村 胡堂

「文芸倶楽部」1929(昭和4)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,149 字 · 34 页

青空文庫

万一何か重大な変化のあった時は、直ぐ駈け付けるという約束で、一先ず二人は伯爵邸を出ることになったのです。

「警官をお頼みになっては」

別れる時、私はくれぐれも伯爵に忠告しましたが、この尊大な貴族はどうしても聴入れようとしません。

「そればかりは君の忠告に従われない。どうか又、お願いしたら直ぐ来てくれ給え」

伯爵の顔にも隠し切れない悲痛な色が動きます。

伯爵にもまして心細がったのは、姪の瑛子と、家政婦の照子でした。併しこの美しい二人の懇請も「足の勇」の決心を動かすには足りません。

それから七八日、不安の裡にも無事に過ぎました。時々伯爵家を訪ねてその後の様子を聞きましたが、敬太郎が死んで後は不思議な曲者も攻撃の手を緩めたか、暫らくは何んの音沙汰もありません。

九日目の晩、伯爵家から、あわただしく電話がかかって来ました。用件は言わずに、兎も角、二人で大急ぎでやって来てくれと言うのです。

心待ちに待って居たらしい、「足の勇」を促して、円タクで伯爵邸に乗り付けたのは、やがて真夜中近い時分でした。玄関まで迎えに出た伯爵は、直ぐ二人を二階の大きな居間へ案内して、座も定まらぬ内から、