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しのふくしゅう

死の復讐

国枝 史郎

「秘密探偵雑誌」1923(大正12)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,539 字 · 16 页

青空文庫

四

事件を扱った法官たちは捨てて置くことが出来なくなって、止むを得ずチホンを召喚した。

部落の人達はそれを知ると斯う云ってお互に話し合った。

「ほんとの犯人が捕った。これでイサクも成仏するだろう」

それだのに、チホンは、十日ばかり経つと全然何事もなかったかのように自分の家へ帰って来た。

部落の人達はそれに就いて又おせっかいにも噂した。

「チホン奴きっと旨い事を云って法官をだましたに違いない」

これが人達の意見であった。

その実、チホンは法官に対して別に旨いことも云わなかった。彼は自分の思っていることをただ正直に云ったまでである。そしてそれには證拠がある。それは予審の調書である。

念のため調書の一部分を此処へ掲げることにしよう。

四

予審調書

チホン「……何も彼も見通しの法官様。私は嘘などは申しません。私は自分の思っていることをただ正直に申し上げます。そうです、私とイサクとは親の代からの喧嘩相手で大変不和でありました。実際私は幾度となくイサクの野郎をとっ捕まえて殺してやろうかと思いました。ですから無論イサクの方でも私が彼奴を憎む位に私を憎んで居ったことは、彼奴の態度や、他人の噂で私には解かって居りました。