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しのふくしゅう

死の復讐

国枝 史郎

「秘密探偵雑誌」1923(大正12)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,539 字 · 16 页

青空文庫

三

君は老人を射撃してから自分の犯罪を隠くそうため拳銃を河へ捨てようとした。君は投げ込んだと思ったろうが、その実拳銃は河の縁から三寸ほど此方で止まっていた。即、これが、その拳銃だ!」

彼は拳銃を前へ出して、若者の眼前で打ち振った。

「そうです、それは僕が友人から貰った拳銃です……しかし、断じてその拳銃で僕は老人など撃ちません」

若者の声は打ち顫え、嘆願するように響いたが、警視は黙って横を向いた。

若者は家の内へ引き入れられ仮に一室へ監禁された。

やがて部落の医者が来て死人の検死が行われた。たった一発の弾丸が死人の心臓を貫いている。そして一発のその弾丸は若者の持っていた拳銃に正くピッタリ合うのであって、そして一方拳銃の方では六発込めてあった最初の弾丸が一つだけ発射されているのであった。若者の罪は争われぬ。彼が老人を殺さないで誰が老人を殺したろう?

ただ此処に一つ不思議なことは、死んでいる老人の右の手が草花の種子を握っていることで、或は老人が裏の耕地へ草花の種子を下している所を狙い撃ちされたのかも解らない。そうだ、そいつは解らない。

三

斯ういう事件があってから、二ヶ月の日が過ぎ去った。