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ダンスマカブル

死の舞踏

野村 胡堂

「文芸倶楽部」1928(昭和3)年9月増刊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,576 字 · 21 页

青空文庫

三

思いもよらぬ運命が待ち構えて居て、凄惨極まる終局に私達を捲き込んで行くことになりました。

三

「ああ、厭だ厭だ、何んという下等な騒ぎだろう、法事だかお祝だかわかったものじゃない」

「随分ヒドい人達ですね」

「仏事も盛大過ぎるとお祭り騒ぎだ、佐良井の奴、どんな気でこんな馬鹿騒ぎをするんだろう」

私と愛子は、法事の後に設けた酒池肉林の恐しい席を逃げて、隣りの室へ飛込んで居りました。これは幽香子が生きて居る時分、その居間に使った小さい洋室で、私達には思い出の深い場所だったのです。

「あの女の人、御覧になりまして?」

「ああ見たよ」

「あれが、幽香子姉様の後へ入るんですってね」

「百日経たない内から、あんな物凄い後添がやって来たら、幽香子もさぞ浮ばれるだろうよ」

「あっ、まあなんという騒ぎでしょう」

厚っぽいカーテン一つを隔てて、食堂の乱痴気騒は手に取るよう、場末の一番下等な酒場でも、これほど下劣な騒がしさは知らなかったでしょう。

「此方でも、久し振りでピアノでも弾きましょうか、このピアノで、何んか静かなものでも弾いたら、幽香子姉様も反ってお喜びになるかも知れませんワ」

室の半分を占めたグランドピアノ、黒ビロードの覆いを取ると、中古になっては居りますが、まだなかなかしっかりした品です。