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しまでをかたる
死までを語る
直木 三十五
「話」1933(昭和8)年9月号~1934(昭和9)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,739 字 · 85 页
女教員が独身者で――村の娘で、頬は少し赤すぎたが、一寸いい女なので、独身者の校長と、私の同僚とが、ライバルになったのである。
両者の睨み合いが、表面化してくると共に、そのとばっちりが私の方へ、時々くるようになった。
(何故だろう)
と、童貞であるし、十四の女を可愛がっている位だから、初めは判らなかったが、同僚が
「房江さん、君何うおもう」
と、聞いたので、すっかり、見抜いてしまった。今から考えると、娘の父親は、転々として行先の変る校長より、同僚を婿にでもして、娘を離したくなかったものらしい、娘さんは中立で、困っていたらしかった。事件の解決を見ないで、私は辞して、東京へ出たが、山の中の平和な――もし、私が、文筆で暮らせなくなったら、ああいう所へ行けば、まだまだ日本も、のんびりしていると思うている。
(然し、二十年の間に何う変ったか?)
急な山の中腹に立っているので、学校の真上に寺がある。とにかく、汽車を見た事がない生徒が多いし、飛行機の話をしたら
「先生※(「言+墟のつくり」、第4水準2-88-74)つきよる」
と、てんで、本当にしないのだから
「先生、地獄てあると、坊さん云うてましたで」